山じい完全ウォッチング

名工大生の就活に必要な情報を発信中。名古屋工業大学キャリアサポートオフィス長 山下教授に完全密着。Presented by welcomes inc

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OBも活躍中!自社内の改善に収まらないTPSノウハウの将来性|おもろい企業 名張製作所(後編)

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『おもろい企業探索ツアー』第6回は株式会社名張製作所。

このシリーズは名古屋工業大学に縁のある企業を訪問して社長や役員、名工大卒業生に話を聞き、山じいの視点からその魅力に迫るという企画です。では後編をどうぞ。(前半はこちら。)

前半で紹介した工場見学の後には名張製作所のTPS(トヨタ生産方式)を実感している社員2名から話を聞いた。

 

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コンプレッサー事業が成長期にある今こそ挑戦のとき

まずは新規事業開発室の室長である武藤さん。彼は情報工学がお得意で、入社17年目のベテラン。

前編では「名張製作所はコンプレッサーを組み立てているけど、本当に作っているのはTPSに基づいたその生産管理システムだ!!」というこの会社におけるTPSの重要性について書いたけれど、もちろん社長や会長は現状に満足しているわけではない。

確かに豊田自動織機から信頼のおける大事なパートナーとして認められている。しかし簡単に察しが付くように、取引先が1社しかない今のままじゃ織機の方針に掛かるところが大きすぎて、名張製作所の命運は織機からの仕事量次第。いかに信用されていようが、これが一本足打法の怖い所だ。

もちろん車載用エアコンのコンプレッサーはエンジンがモーターに変わろうが、自動車産業が100年に一度の変革期に入った今後も絶対になくならないアイテム、いやこれからさらに進化していくアイテムであることは分かるだろう。

それをデンソーと織機が引っ張っているわけで、トヨタ自動車が転けようが、シェアは全世界に向いているので安泰ではあるのだが…

そうは言っても元々は板金屋という技術屋集団の血が騒ぐわけで、コンプレッサーを組み立てる仕事以外の事業を形にしようと奮闘している最中だ。

 

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本社から歩いて5分の立地にある新設の木の山工場。事業開発室もここに入っている。写真の奥に見えるのは伊勢湾岸道

組み立て一本の30年で得たノウハウを新規事業へ

社長の号令一下設立された新規事業開発室には各部署から選抜された名張製作所の精鋭4名が配属された。その初代室長に抜擢されたのが前述の武藤さんである。その武藤さんに事業内容とこれからの展開について聞いてみた。

事業開発室の与えられたミッションは次の3つだそうだ。

  1. コンプレッサー製造の内製化
  2. 製造ラインのIoT化
  3. 自由課題

織機のラインを付与してもらっている手前、新規コンプレッサーの開発はできない。

織機にダメ元で「組み立て部品の製造もしたい」と相談したところ、なんとかお許しを得て今では、ダイカスト(金型鋳造方法の一つ)で作られた部材の切削を手掛けられるようになり、2014年に立ち上げた新工場で部品の内製化を一歩づつ進めている。先月工作機械を大量に導入してダイカスト材の加工用の新工場が立ち上がったそうだよ。

そして一番武藤室長が気合いを入れていて社長も期待をしているのが、2.の製造ラインのIoTシステムの開発。名張製作所の真骨頂である、TPS技術をIoTシステムで外販していくことなんだ。

 

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手軽に設置できるセンシングデバイスで中小メーカーの工場を救え

前編でTPSの2大ポイントの一つに「ニンベンの付いた自働化」があったように、生産ラインが操作不良を検出した時に自動でラインをストップし、生産の無駄を無くすというところだ。

その故障検出のセンシングデバイスの開発を進めているんだ。

事業展開の対象は大手ではなく、中堅中小の生産ラインへの設置だ。大手ならば当然その資金力にモノを言わせ、当然のように独自開発しているだろう。中堅中小にはそんな余裕はないはずだから商機はそこにあるっていうわけさ。

センサーデバイスは製造ラインに後付けで機能別に複数種類を設置可能。つまり、故障する前に前兆として異常が出る電力消費、振動、そして、温度変化などをセンシングできるコンパクトな各デバイスを製造ラインへ簡単に後付けできる。TPSが何たるかを知っている中堅の名張製作所だからこそのセンシングデバイスになるんじゃないだろうか?

設備投資が難しい中堅・中小の製造業の生産効率改善のために名張製作所の新規事業開発室は動いているんだよ。これは250名の会社だからこそできる動きだよ。

 

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TPS改善コンサル業への大きな挑戦

更に現在では生産ラインの状況を見える化できるシステム「eあんどん(行燈)」を考案中だ。

あんどんもTPSの中の重要なシステムであり、設備やラインの稼働状態や工程異常を知らせる表示板のことを言うのだが、このeあんどんは先に開発されたセンシングデバイスと相まって更なる自働化の情報確認ツールとして効力を発揮することだろう。

で、社長の想いは更なるその先へ・・・単なるデバイス開発に留まらず、それらセンシングデバイスと情報の可視化システムというTPSアイテムに加えて、名張製作所の誇るTPSの実績を実装し、中堅・中小向けのTPS改善システムとして提供することを狙っているんだ。

これは凄いことになるんじゃないかな??

単なるコンプレッサーの組み立て会社から中堅中小企業向けのTPS改善システム開発会社&TPS改善コンサルタント企業になるんだ!!すんげぇー!!

TPSで喰っている名張が開発する「自働化システム」。その開発を担ってくれる名工大生を探しているそうだ。どうだ、やってみないか!!

 

 

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名張製作所の要「改善」を担う名工大OB秦野くん

次に話を聞いたのは名工大OB秦野君。彼はTPSのもう一つの柱「ジャスト・イン・タイム」のために生産ラインの改善を生業にしている。TPSの名張製作所に居てその改善を任されている注目の製造部・改善班所属だ。

秦野君は入社7年目の中堅改善マンで、出身は名工大の電気電子工学科の水野研出身。

入社4年目に生産管理部からこの生産ライン改善部署に異動したそうだ。

元々ガツガツタイプではなく、就活は大きな会社を狙うわけでもなく、コツコツと仕事ができるところを探していた。

そんな中で家から通える愛知県大府市にあるこの名張製作所に辿り着いたそうだ。ここは自分にとってぴったりの会社だと思ったそうだよ。

でもね、彼はこの会社をどうやって見つけたかっていうと、本学の企業研究セミナーや、業界研究会ではなく、リクナビマイナビの情報だったそうだ。やはり学内セミナーだけでは、こういうBtoBの中小企業は見つけづらいよね。

知名度や規模に関わらず"おもろい"会社を君たち名古屋工業大学の学生に紹介するのが、この山じいの使命であると再認識したわ。

 

 

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上手く話せなくてもいいんだ名工大生!入った会社でいかに信頼されてどれだけ成長できるか

秦野君はとっても控えめなTHE名工大生で、製造ライン改善部署で10名の仲間たちと日夜格闘しているにもかかわらず、山じいからの質問に終始控えめなお答え…口から出る言葉の終わりには「自分は未だ未熟なので…」と。

いやぁーインタビュアー泣かせの技術屋さんでしたわ。

彼の口下手に屈することなく質問を続けていたら最後に控えめにポツリと教えてくれた。

名張製作所が参加している、豊田自動織機の関連会社で組織されている豊永会というTPS改善の自主研究会の参加者に今年は彼が抜擢されたそうだ。

他社のエンジニアと月に何度も集まってTPSなどを学べる絶好のチャンスだそうだよ。

素晴らしい!彼の能力が部署でも認められているんだな。秦野君!TPSの名張でライン改造をやっているのが君なんだ!胸を張っていこう。

きっと来年の企業研究セミナーには自信を身に着けた秦野先輩が来てくれるだろうから、色々とTPSについて質問してみよう!!

 

 

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達成するまでやり切るNABARIのプライド

最後に名張製作所が具体的にどうやって改善に取り組んでいるのかまとめておく。

名張ではTPSの2本柱(”ジャスト・イン・タイム”と”自働化”)の改善作業を全社一丸となって取り組んでいる。

自社内で改善を続けていくためにトップダウンではなく各部署から要員を出して組織されたチームがテーマを策定するそうだ。

モットーは目標を達成するまでやり切ること。

前回の改善は2か月も延長して達成したそうだよ。そして設備の設計や改善は、極力内製化すること。自分たちで考えて企画・設計することで、その設備の改善内容がより分かりやすくなり、そしてコストダウンにも繋がる。古い設備を名張流にアレンジしながら独自の進化をしているんだって。すごいねー。

山じいとつかっちゃんは今まで色んな工場を見学させてもらってきたけど、まあ、こんな狭い所によくぞ、ラインが組み立てられてるなぁ??っと今までにない光景でした。そりゃラインのタクトタイムが半分ぐらいに縮まる筈だわ。

 

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自社製のAGV

250名で織機のコンプレッサー生産量の2割を担うすごさ

名張製作所のライン改善の肝はタクトタイムアップと省人化で、狭い工場内を、AGV(Automated Guided Vehicle;自動搬送車)が走り回っていた。このAGVも社内設計・改善に取り組んだそうで、外販できるレベル。相当な省人化につながるそうだ。

1台入れて、2人分の省人化に繋がったそうだよ!

こんな風に徹底的に工夫することが名張製作所の売り。

社長曰く「名張の製品はコンプレッサーではなく、それを作る生産ラインや工程」だそうだ。

ホント、こういうメーカーもあるんだね。オモロイ!!

また一つ、オモロイ企業を発見することができちゃったよ。西條常務、お誘いありがとうございました。

 

山じい

 

 

 

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株式会社名張製作所

1954年創業、愛知県大府市にあるカーエアコン用コンプレッサ組み立て製造メーカー。溶接・板金業からスタートし、1970年頃より豊田自動織機フォークリフトに使用されるフレーム加工をはじめる。その生産技術に目をつけた豊田自動織機より、1991年頃からコンプレッサ組み立てラインの提供を受け、現在国内で織機からコンプレッサの組み立て製造を請け負っている唯一の協力会社。207年には自動車産業の品質マネジメントシステムを保証する国際規格IATF 16949も取得した、コンプレッサ組み立て製造のプロフェッショナル集団。

 


公式サイト

www.nabari-mfg.co.jp

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