セラミックスで暮らしを豊かに
「食器棚にはおさまらない」
先日、名工大生の皆様に考えていただいたノリタケのこのキャッチフレーズ。
世界的な洋食器のブランドで知られるノリタケが、なぜ食器棚におさまらないのか、お分かりになりますか?
決してノリタケの食器が高すぎて買えないから、食器棚に入れられないという意味ではありませんよ。
それは、ノリタケが地球の未来を見据えた環境・エネルギー関連の開発も行う総合セラミックスメーカーだからです。
ノリタケは洋食器の製造技術を応用して幅広く事業展開しており、地球環境にやさしいクリーンなエネルギー関連の開発も行っています。
つまり、食空間を美しく飾り付けるだけなく、皆様の暮らしそのものを豊かにしているのが当社なのです。
では、具体的に、まずは最新の開発事例をご紹介しましょう。
この写真をご覧ください。
この写真に写っているものが、今回開発したものになります。
「えっ、結局、食器??」と思われた方、それは違います。
今回、開発したものは、この「赤色の絵具」です。
そして、この絵具のポイントは、セレンやカドミウムといった有害物質を含んでいないことにあります。
食器用の赤やオレンジの絵具には、微量ですが、実はこうした有害物質が使われています。
食器用の絵具は高温で焼成するため、有害物質を使わないと赤のような鮮やか色を表現することが難しいからです。
当然これらの物質が食器から溶出することはなく、人体には影響ありませんが、当社では環境への配慮からセレンとカドミウムを含まない新しい絵具を開発しました。
そして、セレンやカドミウムを含まないものとしては、世界最高レベルの鮮やかさを誇ります。
人体に優しいことはもちろんのことですが、製造現場でもこうした有害物質を使わないため、土壌汚染の心配もありません。
さらに、この絵具は陶磁器に限らず、高温で製造または使用される製品への着色顔料としての用途展開も期待できる優れものです。
ちなみに、この開発を担当した社員の1人は名工大のOB・OGです!
ただ、この開発品は食器に関連したもののため、まだまだ食器棚から飛び出てはいないかもしれません。
ですので、次に当社が現在、注力している開発品をご紹介します。
釉薬のノウハウをヒントにうまれた電池の心臓部品
今、当社が最も力を入れているもの、それは「燃料電池のセラミックス部品」です。
その中でも特に、カーボンを含まないアンモニア(NH3)を直接燃料とするカーボンフリー燃料の燃料電池用部品に注力し、
その心臓部品であるアンモニア燃料電池用セラミックスセルおよび封止ガラスを開発しました。
一般的な水素供給型の燃料電池では、水素の製造過程でCO2が発生してしまいますが、
NH3を燃料とするこの燃料電池では、完全CO2フリーを実現できます。
この開発品の課題はNH3による腐食・劣化をいかに防ぐかということでした。
その解決策となったのが、ノリタケが100年以上にわたり蓄積してきた洋食器のセラミックス技術です。
特に釉薬におけるガラスのノウハウがヒントとなり、開発することができました。(釉薬とは、食器の表面を覆っているガラス質の素材)
そして、この開発品は、2016年に「超モノづくり部品大賞」の最上位賞である大賞を受賞しています。
ちなみに、こちらの開発にも名工大のOB・OGが深く関わっています!
食器づくりの技術を応用したモノづくり
さて、こうした開発を行うノリタケの技術力の基礎となっているものは何だと思いますか?
それは、“洋食器”の技術です。
たかが食器、されど食器です。
現在、ノリタケでは洋食器の製造技術を応用して、研削研磨工具やセラミックス材料、製造装置と幅広く事業展開をしています。
そう、食器棚から飛び出しているのは、なにも開発だけではありません。
こうした洋食器の技術から生まれた様々な工業製品(BtoB製品)で、皆様の豊かな暮らしを支えているのです。
洋食器の仕上げに行う研磨技術が金属やセラミックスの加工に使われる研削研磨工具へとなり、
自動車・鉄鋼・ベアリングの基幹産業から医療・半導体・鉄道などに至るまで様々なモノづくりを支えています。
食器の絵具の製造技術が電子ペーストとなり、スマホなどに使われる電子部品の材料として電子機器の高性能化や小型化に貢献しています。
食器における焼成技術や混合技術が焼成炉やミキサー、濾過装置などの製造装置へと発展し、
リチウムイオン電池や食品など、皆様の身近なものを製造するための装置として活躍しています。
また、ノリタケの商品は各業界でNo1のシェアを持つ製品が多数存在します。
洋食器の技術というOnly1の技術でNo1の製品を生み出すのがノリタケの強みなのです。
燃料電池のセラミックス部品も洋食器の技術があったからこそ開発できました。
ひとつの業種にはおさまらない
さらに、ノリタケの事業領域の広さもノリタケが食器棚におさまらない理由の一つです。
ノリタケが関わる産業は、モノづくりをしているあらゆる産業が対象です。
皆様がお持ちの「モノづくり図鑑2018名工大版」にも3業界(機械・電子部品・セラミックス)に取り上げられています。
是非チェックしてみてください!
ここまで読んでもらえたのなら、ノリタケがもう食器棚におさまらないことは分かっていただけたことでしょう。
ここで、皆様に質問です。
今回ご紹介した開発の裏には、ノリタケの技術ともう一つ重要な要素がありましたが、何だったでしょうか?
それは、どちらも名工大のOB・OGが活躍していたことです。
当社には、研究開発に限らず、多くの名工大のOB・OGがあらゆる事業で活躍しています。
また、工具・材料・装置・食器と幅広い事業領域を持つ当社だからこそ、活躍しているOB・OGの分野も
無機化学系や材料系だけでなく、有機化学系や機械系、電気系など、非常に多岐にわたります。
100年以上にわたり蓄積してきた洋食器のセラミックス技術と様々な分野の名工大生の知恵が集まれば、世の中をよりよくできる気がしませんか?
今年からノリタケも名工大ジョブマッチングシステムを実施
そんなノリタケでは、今年からジョブマッチングを実施します!
皆さんにお会いできることを、心よりお待ちしております。