山じいはこう見えて一応、化学の教授なんだよ...
恐らくみんなは、山じいがキャリア支援を生業にしているおやじだと思っているんではないだろうか?
いやいや、実は名古屋工業大学大学院・生命応用化学専攻で高分子化学を研究している教授なんだよ、なんと工学博士…
ぷっ!!笑っちゃうよね、こんな大学教授は、まず他大学には居ないわ!!
だって工学博士がキャリアコンサルタント技能士の国家資格持ってるんだよ。
ちゃんと研究やってんのかねぇ???
な・い・しょ!!これはリクルートやマイナビなんかの情報企業の面々や各社さんの人事さんが口を揃えて言ってくださいます。
「山じいはヘンだ!!」ま、いい風に捉えれば「山じいは特別だ!」っと、勝手に思い込んでおります。ハイ、変です!!
山じい研究室のウリは研究内容ではなく人間力UP
で、つまり、山じいには高分子化学を研究している研究室があるのだ。B4が5名(野郎ばかり!)、大学院1年生(3名)、大学院2年生(5名、中国からの留学生を含む)の総勢13名の学生が所属し、日夜研究に励んでいるのだよ。
ま、研究テーマは良しとして、うちの研究室では高分子化学に関する研究は、学生を成長させるための道具に過ぎないんだよ。
なんじゃそれ???うちの他の先生が聞いたら呆れられてしまうんじゃないかな?
あはは、山じいはこう見えて教職に着いて早38年間。
今年還暦を迎えた、ある意味そろそろ役立たずなんだよ。ま、この年まで来ると人の目は気にならないし、名工大における山じいの存在は、学内で十二分に認知されており、こういう教育方針も認められておるのだよ。多分。
なのでうちの研究室の学生たちは、研究はまあ程々(好き者はがっつり研究もあり)で進めているんだ。でも、必ず山じいが名工大内で展開している学生による学生支援団体【就サポ、ぴあサポ、SAYA(リケジョの会)】などを主催・運営することをマストにしてるんだ。
春の高山へ製薬会社 武田テバファーマの工場見学に
先日、我が研究室の新学期のオープニング行事である、新人の歓迎会も兼ねた、恒例の春のゼミ旅行に行ってきた。
今回は丁度、ジェネリック薬品メーカーである武田テバファーマの人事下野さんより、「高山に来るなら一度会社を観に来ませんか?」とのお誘いもあり、ゼミ旅行の行き先を高山に決め、初日の一大イベントに高山工場の見学とOBさんたちとのディスカッションを仕込んでもらったのだ。
お邪魔したのは桜前線が名古屋を去り、漸く山を駆け上って高山に辿り着いた4月20日の土曜日。山じいの大好きな北アルプスが満開の桜越しに眺められる快晴の日だった。
残念ながら春の高山祭は終わった後だったんだけど下野さんのお誘いに乗っかっちゃいました。
武田テバファーマの高山工場は高山市内を抜け、奥飛騨へ向かうR158から少し入った高台の工業団地の一角にでーんと構えられていました。
idGのつかっちゃんとそのお友達にも同行いただき、車3台で乗り込みました。
ジェネリック医薬品は医療費削減に必要不可欠
まずは会社の概要をお聞きし、ジェネリック製薬ってどういうお仕事なのかを理解深めた。
まず最初は人事の吉田さんから武田テバファーマの概要、特に医薬品業界の事情についてお話を聴き、ジェネリック薬品が如何に重要かということを教えてもらった。
昨年2018年のノーベル医学・生理学賞受賞の本庶先生の発明された、抗がん剤のオブジーボって幾らすると思う??当初、約3,500万円だったんだってさ!!びっくりだよね。保険適用薬なので、患者さんの負担は随分と少なくなるんだけど(それでも高いけどね・・)、問題なのはその分、公的医療保険や税金への負担が半端なく今後の大きな問題となっていることはメディア上で煩く言われてるよね。
だから、新薬の特許が切れた時に同じ薬効成分で作る薬(ジェネリック薬品)は重要なんだよ。
そして、お話で教えてもらえたこと、もう一つは、特許切れの先発品の薬について、そのまま特許が切れた後も作り続ける事(これを長期収載薬品という)これは新薬とはまた別物になるんだって。
薬品は特許が切れると徐々に薬価が下げられていくんだってさ。これを作り続けていくことも製薬会社の重要な仕事なんだね。
その両方を作るのが、ここ、武田テバファーマのお仕事なんだ。
だから、この会社は新薬開発はしていないんだけど、扱うものは薬なので、生産管理や品質保証はとても大事なポイントで、技術者に薬学部出身者もいるけど、化学・材料系や機電の学生が重宝されているんだわ。
どうだい?景色の良い高山で、ジェネリック薬品を作ってみないかい??
人を病気から救う薬を作りたい人、名工大には沢山居るっしょ!!
名工大OB2名のお話を聞いて
次いで話を聞いたのは、我らがOBの下田君だ!
品質保証に携わる生命物質工学専攻ソフトマテリアル出身の7年目だ。
院卒で元々は開発を希望してたんだけど、配属は品質保証(品証)…
最初はちょっとがっかりだったそうだが、品証の奥深さを味わった今はとても満足して仕事できているそうだ。
製薬の全工程に係ることができるところが良いんだって。品証には次の三つの大原則がある。Good Manufacturing Practice(GMP)と言って「人為的ミスの防止」、「汚染品質低下の防止」、「高品質保持の仕組み構築 」。
これらが大原則なんだそうだ・・・素人から見ると、全部品質保証に見えるぐらい、薬作りって、品質保証が命なんだね。
当然か・・・人の命預かってるもんね。下田君が頑張って、武田テバファーマの薬の安全・安心を守っているんだ。そりゃやり甲斐出るわな。
更に、同じく生命出身の大森君。こちらは13年選手でベテランだね。入社後は名古屋にある本社でジェネリック薬品の開発を任されていて、3年ほど前から高山で生産技術(MST)の中心として働いているんだ。
薬っていうのは、薬価が国に決められてしまうので、それが年々下げられていくものだから、生産管理で品質を保証しながら、生産性を上げていかないとペイできない訳さ。だから生技はとても重要なポジション。
この間名張製作所で学んだ、タクトタイム向上を目指さなければならないお仕事だそうだ。大変だぁア・・・!
でも、やはり土地柄か、季節柄か、なんだかみんな澄み切った表情で仕事をしていて、外資系の雰囲気は全く感じられなかった。
クリーンな景色・環境で健やかにはたらく
続いて、製造現場を二手に分かれて見学させてもらったんだ。勿論、薬を作っている現場なんかに入れるはずもなく・・そんなことをしたら品証の下田君にど叱られるよ!!
でもきちんと外来者用に製造現場を見学できるコースができており、各セクションを窓ガラス越しに眺めることはできたんだ。
土曜日とはいえ、ラインは動いており・・でも人が居ない・・・薬のラインってそのぐらい綺麗に自動化されてるんだ。お菓子の工場の試食付き見学コースを回っている感じでしたよ。
化学の研究室のメンバーだったので、特別に分析室には入れて貰い、色んなお話聞けたんだけど、各種分析装置が所狭しと並んでいたのは圧巻でした。これまでおもろいシリーズで紹介してきた機械メーカーとは全然違ったよ。
流石製薬メーカー、クリーンって言葉がピッタリの工場でしたわ。
そして薬の品質を守るだけでなく、薬を作っている人の安全と健康も守る。薬と毒は表裏一体。間違って健康な人が薬吸い込んじゃったら、逆に病気になるもんな。
街もクリーン、風景もクリーン、会社もクリーン、そして働き方までクリーンな武田テバファーマ、良い所じゃないかぁーい!!
北アルプスを眺めることのできる会議室で、素敵な立食パーティーも開いてもらい、満足満足なゼミ旅行でした。
下野さん、そして武田テバファーマの皆さん、ありがとうございました。
山じい
取材協力・武田テバファーマ株式会社