山じい完全ウォッチング

名工大生の就活に必要な情報を発信中。名古屋工業大学キャリアサポートオフィス長 山下教授に完全密着。Presented by welcomes inc

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名工大生に求められる革命力|おもろい企業 三ツ知(後編)

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おもろい企業探索ツアー・第11回は『株式会社三ツ知』。
このシリーズは名古屋工業大学に縁のある企業を訪問して社長や役員、名工大卒業生に話を聞き、山じいの視点からその魅力に迫るという企画です。では後編をどうぞ。
(前編はこちら)

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三ツ知を転職先に選んだ名工大OB白木さん

さて、おもろい企業探索ツアーではいつも若手名工大OB・OGの話を聞くんだけれど…ところが残念。三ツ知には新卒で入社した名工大OBが一人もいないんだ。
これだけおもろいモノづくりをしているのに、その魅力を名工大生に伝えきれていないのはもったいない!!
ということで、唯一在籍している中途入社の名工大OB白木さんを紹介してもらった。 

白木さんは金属材料の井出研の出身で、学生時代はNIT MICというパソコンサークルに入っていたそうだ。
就職活動は不況時だったこともありあまり積極的には動かず、自在に職種を替えることができるトヨタ自動車直轄の人材派遣会社に就職したそうだ。
若いうちにいろいろな職場を経験することで、技術者としての幅を広げようと目論んだそう。
確かに一社で一つの仕事にこだわりを持って働くより、若いうちは幅広く技術を学び、自身の付加価値を高めるという考えはありだとは思う。
それが派遣会社(アウトソーシング)が上位校の学生を採用するスキームだと、ちょうど先日仲の良いアウトソーシング企業の役員に話したところだ。

しかしこのスキームは従業員本人にやる気があっても、アウトソーシング企業側に社員を育てる仕組みと意識がなければどうにもならない。
案の定、白木さんの就職した派遣会社は3年での職場替えが規則で、加えて派遣先関連の企業への転籍は認められなかった。
純粋な派遣会社だったんだね。
ま、仕方ないよね、現役就活生にそこまでの企業理解力は無いものね。

 

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さまざまな環境で働いた末にたどり着いたシンプルな求職条件

で、白木さんは数回目の職場替えの折に「このままでは駄目だ。会社の良いように使い回されるだけだ!」と気づき、「一つの仕事に本腰を入れてやりたい」と思うようになったそうだ。
友人の勧めもあって転職を決め、地元で一つのものをきっちりと自分で作り上げることのできる会社を探した。
大手メーカーに入って部品を作るだけってのは避けたかったみたいだね。
トヨタ本体で派遣をしていて感じたんだろうね。
自分の想いを製品という形に落とし込みたい、そう思って選んだ転職先がこの三ツ知だったんだ。
三ツ知ならその製品である車用ファスナーの設計から金型造り、製造、出荷まで関わることができる、っというか関わらざるを得ない。
だからここだって思ったんだろうね。

 

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やりがいを見つけられたCAEによる金型設計

三ツ知に入ったコンピューター好きな金属屋である白木さんは、入社当時流行りだしていたCAE(Computer Aided Engineering:コンピューターシミュレーションによる機械設計)に興味を持ち、冷間鍛造の金型設計への活用を始めた。
鍛造加工の精度を左右する重要な金型の複雑な設計を、シミュレーションの助けを借りて行っている。
彼のやりたいことがここにはあったんだね。
これまでの三ツ知で働いた8年間で、10本ほどの金型を新規設計してファスナーの生産に貢献したそうだよ。

このパズルのような冷間鍛造において、CAEで予想して作った金型で、思い通りのファスナーが作り上げられた時、無常の喜びを感じるんだってさ。
大分いっちゃってるね、白木さんも…。

 

 

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生産技術部門で修行中 安田さん

さて次に控えしは、名古屋市南区の大学で機械工学を勉強してきた安田君です。
人事の佐竹さんにタメ口をきける、なかなかの強者だったわ。
ま、山じいの前で緊張して見栄張ってる感じで可愛らしかったんだけど、途中からは山じいにも半タメ口で…おいおい。
で、機械出身の彼は三ツ知の技術に惚れて入社したのか? と思いきや彼は商社に入って、名古屋の街中で格好つけた人生が送りたかったらしい。

元々、三ツ知は自動車用ファスナーの商社で、いろいろな子会社を合併する中で早い時期に製作部門ができたものの、現在もまだ商社機能が残っている。


三ツ知グループは幾度かの再編や吸収合併を経て、現在の組織体制になったのはつい昨年の夏。
現社長もそこからの就任なんだって。結構複雑な成り立ちである。

で安田君、商社マンになって良い格好するはずだったんだけど…機械工学部専攻が災い(功を奏し?)して、商社部門ではなく、生産技術部門へ配属された。
それも最初の配属先は三ツ知の創業の地、三重県松坂市の山奥、飯高町三重県人である山じいからしても、相当な自然の宝庫!)にあるグループ会社、三ツ知製作所であった。
名古屋の街中でスーツを着飾りさっそうと商社マンをやるはずが、田舎の工場で生産技術の基礎をみっちり学ぶことになり、彼の人生設計は狂ったんだ(人生そんなもんさ)。

でもこの修行で生産技術の面白さに気付き、春日井の本社工場に配属されてからも生産技術の立場から三ツ知の冷鍛加工を支えているんだわ。
ティーボーイを目指していた彼も、この三ツ知の仕事の面白さに気付いたみたいだ。

ね、三ツ知、最初はどうもなくっても、仕事してみて分かる技術力と仕事の面白さ。
どうさ、自分たちも挑戦してみようと思わないかい?
山じいが保証するよ、三ツ知の技術は本当に面白い。
君たち名工大生の能力を開花させるのにはピッタリだと思うよ。

 

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中村社長の覚悟

さて、最後に話を聴いたのは昨年から三ツ知を引っ張っている創業以来初のサラリーマン社長、中村社長だ。
某企業からその手腕を買われて鳴り物入りで三ツ知に入社し、昨年の夏まではタイの子会社で社長を務められていた。
満を持しての就任である。
いつもながら、社長ににわか仕込みの冷鍛加工賛歌をぶつけながら、社長の三ツ知に対する思いと決意を聞き出してみた。

三ツ知はオーナー企業としてこれまで創業家が経営を率いてきたが、会長の息子、いわゆる「ボン」はまだ若く(現在営業課長)、中村社長はボンの就任までの中継ぎ的な役割なのかも確認したかったわけだ。

単刀直入に聞いてみると、そんな中途半端な考えではなかった。
なんぼ「ボン」でも使えん奴は昇進させない! 的な強い志をお持ちだった。
会長もそういう想いで中村社長にこの会社を託されたんだろう。
いやいや、この社長は本気ですよ。

 

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三ツ知のミライにチャレンジは必要不可欠

目指すのは現存の「技術屋集団による冷間鍛造」からの “脱却” なんだな。
中村社長は先日中国のお客さんや関連企業を視察して「このままでは確実に中国にやられる」という強い危機感を抱いたそうだ。
中村社長「お客様は確実に値段を盾に商売を仕掛けてきます。なぜなら作らなきゃいけないものは決まっているから、三ツ知に課せられている課題は、それをどう効率的に作るのかといったところだけ。価格勝負になってしまうと今の技術屋集団では確実に太刀打ちができず、中国企業に負けてしまう。」

「中国に勝つには、もう熟練工に頼ったMade in Japanじゃないんだ!!」っと力説されていた。
これからはAIを使った製造工程のコンピュータ制御で、Big Dataを駆使して最適解を求めるやり方が必要なんだというのが社長の持論。
そしてファスナーの標準化を図り、車に使うファスナーの種類をできるだけ減らしていくこと。
この自虐的なパラダイムを、ファスナー屋である三ツ知が考えているんだ。

そうやって業界の先端を走ることによってのみ、市場を押さえることができるのだと。
 

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made in japan の分岐点|技術力の継承と価格競争力

でーも、ここで山じいの頭の中には、その熟練工のトップである渡辺工場長の、あの工場内を喜々として案内して回る姿が思い出された。
工場長との会話の中で、山じいは素人なりに「冷間鍛造をコンピューター制御することはできないのか?」という質問をした。
その際の渡辺工場長のちょっと困惑したような顔が思い浮かんだんだ。

この感覚は、ヨシタケのタイ工場長が「コンピューター制御のCNC旋盤に頼ると人間の技術力が失われる」と危惧していた姿とオーバーラップする。

三ツ知の渡辺工場長も「鍛造機をサーボ駆動に変換すればコンピューター制御も可能です」とは言っていたし、前述の名工大OB白木さんもコンピューター制御設計であるCAEに憧れこの三ツ知に入ってきたのだから、十分可能なはずである。
でも工場長が心配しているのは、コンピューターやAIに設計や生産を任せることによる「三ツ知マンの技術力の低下」なんだよな。

この問題は、メイドインジャパンを担う日本のモノづくりにおけるターニングポイントなんだろうなあ…。

何れにしても中村社長は、そういう新しい考え方と技術を取り入れることのできる柔軟な思考力を持った優秀な人材を集め、そういう若い力とこの会社の舵取りをしたいそうだ。
だからこそ、名工大生が欲しいんだよな。

 

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技術屋の勘 + ビッグデータ解析による生産工程の最適解 = 無敵

もちろんまだ今の段階では、中村社長の描く最先端の生産システムは実現していない。
渡辺工場長が率いる技術屋集団によるしっかりとした物作りは絶対に必要で、その場面にも真面目で能力のある名工大生は必要とされている。
これらの経験豊富な技術屋集団と社長の考える先端技術プロジェクトを上手にマリアージュさせないと頓挫するからね。
その両者に必要とされ、両者を混ぜることのできる機能性界面活性剤が、君たち名工大生なんだ!!
社長には先に踏み出さなければならないという危機感はあるんだけど、具体的にどういった作戦なのかは聞き出すことができなかった。

渡辺工場長には三ツ知の持っている技術力の将来を案じる気持ちがある一方で、現場の責任者として忍び寄る中国の影に目をつぶる訳にもいかないのだろう。
だからこそ両者の協力とスムーズな移行が必要なんだ。

つまりは、この三ツ知技術屋集団が長年に渡って培ってきた膨大な経験値を見える化し、そのビッグデータをコンピューターやAIによって活用する能力、それがこれからの三ツ知には必要とされているんじゃないだろうか?
そんなイノベーションを起こせる若手を三ツ知は探しているのだよ。
名工大生が本気になれば不可能なことではないだろう。
そんな環境に燃えることのできる奴は三ツ知の門を叩け!
未来の三ツ知を引っ張っていくのは君たちだ!!

山じい

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株式会社三ツ知
1963年創立、愛知県春日井市に本社を置く自動車部品「工業用ファスナー」メーカー。顧客の課題を解決できるカスタムファスナーの提案力、生産体制が強み。US、タイ、中国に工場を持ち、TPSの要件(品質・コスト・JIT)を全て満たせる高度な鍛造の技術力で自動車産業などの基盤を支えている。

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