山じい完全ウォッチング

名工大生の就活に必要な情報を発信中。名古屋工業大学キャリアサポートオフィス長 山下教授に完全密着。Presented by welcomes inc

なぜか毎年高学歴な面々が入社するバルブメーカーの謎|おもろい企業 ヨシタケ(前編)1/3

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『おもろい企業探索ツアー』第9回は株式会社ヨシタケ
このシリーズは名古屋工業大学に縁のある企業を訪問して社長や役員、名工大卒業生に話を聞き、山じいの視点からその魅力に迫るという企画です。前編をどうぞ。

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山じいタイへ行くの巻

今回の探索ツアーでは、なななんと!海外遠征でタイへ行ってきた。
株式会社ヨシタケは本社が創業の地・瑞穂区にあり、研究開発と組み上げは小牧、およそ全ての部品を作るメインファクトリーがタイにある。

この会社は水蒸気の自動制御バルブのメーカーで一気通貫のモノづくりをしている。
広大なタイ工場のおかげで、企画開発から金型設計、鋳造、そして切削、組み立てまでを完全に内製出来ている。
中小企業でこれだけの一気通貫ができる会社はそうはないと思う。

 

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気候の良いタイ工場の片隅で自然に育つマンゴーを見つけたヨシタケ人事・浅野っち

ヨシタケ人事・浅野っちとのなれそめ

ヨシタケとの縁は、山じいが名工大でキャリア教育に携わり始めた2007年まで遡る。
現在のヨシタケの人事、浅野っちとの付き合いはその頃始まった。

当時、彼は就職情報会社のジェイ・ブロードという会社に勤めていた。
ジェイ・ブロードは大学のOB情報がまとまった冊子「VOICEを様々な大学で発刊していて、彼が「名工大でも作りませんか?」という提案を持ってきたんだ。

VOICEは大学とジェイ・ブロードの共同制作ではなく、基本的にジェイ・ブロードが独自に企業を募り各大学のOB情報を集める。
このVOICEの提案に山じいはもちろん「そんなんつまらんやん!」と注文を付け、名工大VOICEはジェイ・ブロードと名工大の共同制作という形になり、山じいの意見を存分に取り入れてた内容となって(これは名工大だけ!)今でも毎年発刊している。

浅野っちとは一緒に色々と工夫して名工大VOICEのベースを作り上げた感が強く、その後彼がヨシタケに転職にした後も関係が続いているのだった。
気付けばもう十年以上のそんな深い仲だったんだわ。
当時はまさか自分がヨシタケの人事やるなんて思ってもみなかったろうけどね。

  

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ヨシタケとの出会いはコダイライズム

当時、開講したばかりの「キャリアデザイン」という授業の特別講師を探していたところ、浅野っちが株式会社ヨシタケの名物人事、古平さんを紹介してくれた。
キャリア教育が大好きな変人で、とんでもなくおもろい方である。
授業当日、90分の講演をたったA4一枚のレジュメだけで喋り続けたのには驚いた。

「君たちがヨシタケに入ろうが入るまいが、どうでも良いんだ!キャリアパス形成に少しでも役立てれば!」という熱い思いを語ってくれた。

今そんな売り文句で山じいの部屋へ人事が相談に現れたら即、却下しそうな熱いおじさんだったのだよ。
山じいはWIN&WINの話にしか乗らないからね。

今ではこんなことを言いながら採用活動をする人事は少ないが、浅野っちには古平カラーがまだ残っていて山じいは少し危うんでいる。
「もうそういう時代じゃないよ!」と話しながらもこれからの採用を一緒に考えていこうとタッグを組む仲である。

 

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なぜか採用が上手いヨシタケ ついにその謎を解く時が来た

これまではヨシタケの人事を知っていたとしても、ヨシタケについては???
果たして何を作っているの?
バルブ…それ、学生には人気無いよね?
そう思わんか?
あのパイプの途中で、流れを調整する装置だよね。それ作りたいかい、みんな?
この会社の採用はさぞ厳しいのではないかと思っていたんだけど…

あにはからんや、ヨシタケは従業員500名弱の中堅企業にも関わらず、毎年名大や名工大の東海地方に留まらず、全国の上位校から多くの学生を採用しているんだ。

これにはビックリ!!みんなそんな一生懸命勉強してバルブ作りたいのかなあ??

この摩訶不思議は、この特集を読み進めると徐々に分かってくるはずだが、やはり古平イズムを強く受け継いだ浅野っちの熱い思いが就活生たちに届いているんだと思う。

でも本当にこれで良いんだろうか???

この迷いは浅野っちにもあるようだ。
取材に行く前のヨシタケは「なぜこんなに採用が上手くいってるのか怪しい」という印象で、期待と同時に危惧を覚えた。

ヨシタケはインフラを支える製品をコツコツと作っている泥臭〜い会社なのに、こんなITベンチャー的な学生の採り方で、入社後ミスマッチは無いのか?と。

 

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タイ工場の立ち位置は明白

この取材が決まってからは日々悶々としていた。
本社の取材だけならまだしも、「また山下先生と一緒に仕事が出来る!」と張り切った浅野っちは、男前に社長決済を取りタイ工場への取材を手配してくれた。

お調子者の山じいはこの提案に二つ返事で「行きまーす!!」と言ったものの、内心「えっ、連れて行ってどうするの??何をアピールしたいの?」であった。

タイ工場は開発部署もなく、人件費が安くコスパが良いという理由で作られた製造工場なんだよ。
そこに取材へ行って何が得られるのか?
うちの連中にタイ工場を紹介して、「みんなタイ工場へ行きましょう!!」って宣伝するのかい??
そんな主旨じゃないよね、このおもろい企業探索ツアーはさ。

 

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出国前に急遽小牧工場を訪問

何はともあれタイへ行く前に一度、小牧のメインファクトリーに行ってバルブの勉強をしてこにゃあかん!!
そう考えた山じいは、スケジュールの合間になんとか3時間の余裕を見つけて急遽小牧工場を訪問した。

対応してくださったのは、開発課長の新庄さんと総務部長の島さん、それに浅野っちの三方で、工場を見学する前に立派な造りのTSC(テクニカルセミナーセンター)でバルブの勉強をさせてもらった。

TSCに入ると、鮮やかなオレンジ色に塗られた壁全面にバルブシステムが所狭しと並んでいた。(全部、実際に稼働させることも出来るそうだ)

そこで新庄さんからバルブについて色々と教えてもらったんだが、その話が目から鱗!!(これはいつもの事だね…)

山じいはヨシタケのバルブを大きく勘違いしていたんだ。

 

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山じい長年の勘違いに気づく

まず一番大きく間違っていたのは、ヨシタケのバルブが取り付けられる配管の中を流れるのは水や排水のような液体ではなく、高圧水蒸気だったのだ。
バルブといえば、大きな水道管や下水管に付いていて流体を制御する弁のイメージであった。
あの配管の上に付いているハンドルをくるくるクルーと回して開け閉めするやつ。

次に間違っていたのは、水蒸気用のバルブは手作業による開閉の操作が必要がないんだ。
力学を利用した機構で水蒸気の流れを自動調整できる。
水蒸気用のバルブは、熱や湿気などの厳しい環境下で使用されることが多く、また整備しにくい場所に設置されることもあるため、センサーやリモートコントロールによる他力式ではなく、自力式なんだ。
身近な活用例で言うと、トイレのタンクなんかがそうだ。
解るこれ??単なるバルブと言っても、そこに技術の粋が詰まっているんだ!

 

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新庄開発課長にヨシタケの水蒸気用バルブについて詳しく伺った。

自動調整バルブはまさにカラク

バルブの機構の詳細については本特集の別記事で紹介する。

簡単にど素人が理解する限りでは、ボイラーで作られた蒸気が配管を通して作用部所へ流れ込むときに、その圧が一定になるように、ある一定圧以上になるとバルブの中の弁が自動で閉じるようにバネやら、カムやら色んな仕掛けが動いて、水蒸気の圧力を調整出来る。
また圧力が下がると、その弁が開いて蒸気が流れ出す。

これが圧力対応だったり、温度対応だったり、水蒸気が冷えて析出する水の量だったりするわけで、色んなラクがこのバルブの中にあり、カラクリ時計の様に工場内の水蒸気を有効活用できるようになるんだ。

電気も使わず、オペレーション室も不要でバルブを空けたり閉めたり勝手にやってくれるのよ。

 

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バルブの魅力を知りヨシタケの突破口を見つけて安堵する山じい。

理系学生ならワクワクするはず!バルブの魅力

これがまた色々な種類のカラクリがあって面白いんだ!!
新庄さんの説明に一人興奮していたら、隣で一緒に聞いていたド文系の浅野っちはその面白さに気付いていない様子。
説明をしている新庄さんは、身近過ぎてこのカラクリの面白さを強調しない。

メカ好きの名工大生よ!どうだいワクワクしないかい??カラクリ好きじゃないかい??山じいだけ???
車のATクラッチなんかもめっちゃ面白いんだけど、あれはあまりに複雑過ぎて、訳が分からない。

でもバルブのカラクリは、じっくり考えて工夫すれば自分にも改良できる気がするのは素人だからかしらん???
工学部の人間なら大方がワクワクすると思うけどなあ‥‥。

小牧工場を見学出来て本当によかったわぁ。ヨシタケのおもろい所を一つ見つけることができたもの。
これならタイ工場にも、何か魅力が潜んでいるような気がしてきたんだわ。
期待を胸に10月初旬、セントレアタイ国際航空645便、エアバスA350へ乗り込んだのであった。

 

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タイランドはJAPAN JAPAN JAPAN !

トムヤンクンの夢を見ながら5時間半のフライトをあっという間に過ごした。
着陸直前窓の外を見ると、あの有名な大河チャオプラヤー川が見えた。
低地が内陸まで延々と続く地形の特性上、河は大きく蛇行を繰り返しながら海へ流れ込む。
スワンプーム国際空港に降り立つと、秋の日本では忘れていた懐かしい熱気に包まれた。
入国審査を無事終えゲートを出るとタイ工場の早川工場長が出迎えてくれた。

早川工場長のお抱えドライバーが運転する日本車に乗り込みバンコク市内へ向かう途中、高速の沿線には日本企業の看板や広告がひしめいていた。
走っている車も半分以上が日本車という印象で親日を肌で感じられるドライブだった。

 

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山じいとYOSHITAKE WORKS(THAILAND) LTD. 取締役工場長 早川さん

ホテルに荷物を置いた後はバンコク一の繁華街「サイアム地区」へ出掛け、妻の指令「本場のお洒落なカービングナイフをお土産に」を達成するためにモールやデパートを歩き回ったり、美味しいタイ料理を食べに行ったりと、いや〜異国への出張は楽しいわ!
タイのネックはお酒のラインナップが少ないところかな?
地ビールSINGHA(シンハー)も一缶45バーツ(約160円)で結構高いし、味はバドワイザーより薄いし、酒呑みにはちょっと辛い土地かもしれない。
 

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創業から30年連続黒字…タイへの早期進出がヨシタケを強くした

ヨシタケがタイに工場を作ったのは1989年。
日本企業がタイへの進出を加速し始めたのが1985年のプラザ合意後だから、この規模感の企業としてはとても素早い進出であった。
さすがオーナー企業だね!これがオーナー企業の良い所なんだよ。

タイ進出後、ヨシタケは順調に事業を拡大し「創業以来30年連続黒字」という驚異的な記録を現在も更新し続けている優良企業である。

進出当初、工場はバンコクの北部、古都で有名なアユタヤ県の工業団地にあったが2011年のチャオプラヤー河氾濫によって工場が水没・全損してしまう。

次記事で触れるが、この大洪水からの奇跡的復興にもオーナー企業のスピーディーな意思決定のメリットは十分に発揮される。 

大洪水からの復活はヨシタケの採用サイトにもよくまとまっている。
Global グローバル展開|採用情報|株式会社ヨシタケ

 


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タイは日系企業に大人気

タイは「日系企業の海外進出先」として中国、米国、インドに次いで4位と東南アジアではダントツに人気の国だ。
(5位 インドネシア、6位ベトナム、7位ドイツと続く。 外務省HPよりhttps://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press4_006071.html

なぜタイは進出先として日系企業に人気なのか?
詳細は日本総研http://www.jri.co.jp)が出しているレポート「タイの集積地をいかに活用するか」(pdf)に詳しいところだが、人件費の安さ(ほぼ日本の1/4)、大学への進学率(40%)、また、ASEANだけでなく、中国、インド、韓国ともFTA自由貿易協定)を結んでいる、さらにはタイランド湾に面して物流も良く地理的にアジアのハブのような存在である等々上げればキリがない。

けど一番の理由は、タイの人たちの国民性でないだろうか。
とても親日で穏やかな気質。争いは好まず、なんてったって「微笑みの国」と呼ばれるほどである。

今回初めてのタイ訪問だったが、滞在中ずっと付き添ってくださった早川工場長の凄すぎるホスピタリティーのお陰もあり、本当に素敵な旅だったのよ。
そしてセントレアから5時間半と近いのも良いよね。食べ物も美味しいし。

バンコクのショッピングモールはラーメン屋、牛丼屋、焼き肉屋、居酒屋と日本食レストランのオンパレードで、日本語が氾濫しており千種のイオンと大差無かった。
パクチーや香辛料が苦手な人でも十分暮らして行けるだろう。

来週公開のヨシタケ中編では、タイ滞在2日目。
朝から工場のあるチョンブリ県へ移動し一日ヨシタケをディープに探索した模様をお届けする。 

文 山じい
編集・写真 つかっちゃん

続きはこちら

blog.nityamakei.com

 

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株式会社ヨシタケ
http://www.yoshitake.co.jp/recruit/

1944年創立、愛知県名古屋市瑞穂区に本社を置く自動調整バルブのメーカー。1990年にJASDAQへ上場してから30年間連続黒字を記録。バルブは社会的インフラの一部だが競合企業は少ない。1990年頃からタイに生産拠点を持ち、十分な価格競争力と品質を持ったバルブを世界に普及させるために市場を切り開き続けている。「自分の存在意義が感じられる仕事をしよう」という意味を込めた「ダケ感」という標語を掲げ、自分にしかできない仕事で活躍できる人生を提案している。

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インターンシップのお知らせ

こんにちは!株式会社ヨシタケ 人事の浅野です。
2019年12月7日(土)8(日)の2日間、モノづくりの面白さを体感できるインターンシップを実施します。
その名も「第一回 世界バルちゃん飛ばしコンテスト」。
オリジナル「投てき機」を創ってバルブの妖精「バルちゃん(ぬいぐるみ)」をどれだけ遠くに飛ばせるか競う、ヘンテコなインターンシップ
テーマは「モノづくりは、もっと無邪気でいい」。
自由な発想を形にする「自分ならではのモノづくり体験」ができる2日間です。
食費・宿泊費は全て支給、交通費も一律3,000円を支給します。
名工大生のご応募お待ちしています!


株式会社ヨシタケ2DAYSインターンシップ 第一回世界バルちゃん飛ばしコンテスト
日程 2019年12月7日(土)8(日)
〆切 2019年11月29日(金)
会場 ヨシタケ小牧工場 等
対象 全学年全学科
特典 コンテスト上位入賞チームは豪華食事会へご招待。

詳細はマイナビをチェック(受付中)
(株)ヨシタケ【東証JASDAQ上場】のインターンシップ | マイナビ2021 

株式会社ヨシタケ 
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