山じい完全ウォッチング

名工大生の就活に必要な情報を発信中。名古屋工業大学キャリアサポートオフィス長 山下教授に完全密着。Presented by welcomes inc

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【NEWS】2020.3.16 名工大生のためのWEBセミナー情報を掲載しました

社会を快適にする制音技術|おもろい企業 セキソー(前編)

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おもろい企業探索ツアー第12回は、『株式会社セキソー 』
このシリーズは名古屋工業大学に縁のある企業を訪問して、社長や役員、名工大卒業生に話を聞き、山じいの視点からその魅力に迫るという企画です。では前編をどうぞ。(過去の特集一覧はこちら)

制音材メーカーのセキソーを訪ねた

令和2年の初仕事は、岡崎市にある自動車用制音材づくりに特化したセキソーを訪れた。
で、なんでセキソーなのか?

セキソーは、信州で66年前に創業されたマルヤス工業(同じく車用部品メーカー)のグループ企業なんだよね。
200名ほどの中小企業なんだけど、5名の名工大OBが居るんだ。

そのうち2名は山じいの研究室のOBで、他の2人はお隣の同じく高分子を扱う研究室出身。
さらにもう一人も同じ生命応用化学科の有機化学の研究室出身という、なんだかご近所のOBたちがいる会社なのよ。
5名のうち一番の年長者・大島部長は、山じいの居室でワインの宅呑みをする間柄。
これまで割とよく飲んではいるものの、採用の話には結び付いていなかった。
OBの中でも一番若い山じい研出身の青笹君は、なんと37歳。
もう14年も名工大生入っていないのさ。
なぜかというと、この年長者の大島部長、押しが弱いのよ。
業を煮やした山じいは、ついに「社長連れて来い!!」っと。
そして創業者(現会長)の息子さんである副社長の山田さんが大島くんと来室され、今回のブログ掲載に向けてトントン拍子で事が進んだわけだ。

 

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着いて早々、山田副社長の会社説明にダメ出し

さて、岡崎の街中、愛環鉄道の北岡崎駅前にある本社に伺った。
到着後はまず、次期社長となるであろう山田副社長ご本人から会社説明をしてもらった。
それがまあ…よくあるパターンの会社説明で、会社の経営理念だったり、財務状況であったりと…つまんないのよねえ。
毎回毎回いろんな会社の社是やら、経営理念などを聞かせてもらっているけど、あんなのは社長やオーナーの自己満足以外の何物でもないと思ってる。
皆、ES書いたり、面接対策するときは調べると思うけど、どこの会社も五十歩百歩だと思わんかあ??

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山田副社長に会社説明をしていただいた

「社長が内定者や従業員に向かって話をするのならばまだしもだが、採用説明の時にそんな話、就活生の心を打つポイントなんてちっともないから、止めましょうよと!!」
山田副社長に投げつけた。
彼も「ですよねー!!」って反応してくれたのよね。
さすが40代の経営者だ。そう来なくっちゃ!!
さらには人財育成に力を入れているとか、デミング賞(TQM(総合品質管理)の進歩に功績のあった団体に授与される経営系の名誉ある賞)をもらったという話は、大賞を取ったならまだしも、学生の心をキャッチした後のおまけに使いましょうね!!っと副社長へ、さらにドン!!
まあ、副社長相手に言いたい放題さ。
山じいを紹介した大島君の顔色が若干青ざめ…うふふ。

 

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執行役員の柳村さん

人材ではなく人財と書く

その後には、女性役員の柳村さんによるセキソーの人財育成のお話でした。
こういう中小メーカーに女性の役員は非常に珍しいので、柳村さんはきっと山田副社長のお姉さんだと思っていたが勘違いで、優秀なプロパーであった。
セキソーでは「人材」を敢えて『人財』と書いて財産として捉え、人財育成に関しても力を入れている。
塾と道場を持っており、塾でお勉強して、道場で体得するというものだ。

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山じいも安全体感道場を体感させてもらったよ。
同じ色・形の箱状物体なんだけど、重さが極端に違うのよ。
それを軽い方から持って、次に重い方。
気軽に持ち上げようとすると腰を痛める!!
見た目で重さを判断するなという訓練らしい。
やはり、社内の事故は労災として厳しく評価されるのでね。
会社にとって人材(人財)の安全は大事なんだよね。
ここいらは大学の研究室と随分と違うってことを、インターンから帰ってきた学生がよく言うよね。
塾は手作り感満載でセキソーの想い、そして柳村さんの気持ちがとてもよく伝わってきましたわ。 

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リーダー研修は本気の70日間修行

さらに凄いのは、MF研修(マルヤス・セキソーフォアマン研修)という、マルヤスグループ全体で行われている中堅社員のためのリーダー研修で、なんと70日間もあるのだよ。
業務改善を通して人財を育成するプログラムで、製造部や技術部門から選抜された研修メンバーは3名1グループに構成される。
現場に出て生きたデータを取り、事業について語り合う場にもなっている。
改善手法などを学ぶ初期合宿から始まり、お寺での精神修行(中間合宿)もあって、70日後にようやく最終発表・卒業となるんだ。

いやはや、本当に人財育成には力を入れてるんだなって、感心しきりでありました。
ただお寺での精神修行って、チョットやり方が古臭いかな???
柳村さんのコンセプトはこのままで、少し現代風に刷新しましょうよ!!
目指すところは素敵なのですから。
 

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運転の魅力を語る上で欠かせない「車の音」

さて、ここからはセキソーの本質を見に工場見学へ。
岡崎工場の小池工場長と山田副社長に工場を案内してもらいながら、車の音の世界について深く考えることになった。

皆は車の音をどう感じているかな??
レクサスのような高級車の音、86のようなスポーツ車の音、EVの音、ディーゼル車の音の違いがそれぞれ分かるかなあ??
近頃のとても印象的なCMで、香川照之さんとトヨタ自動車豊田章男社長のトヨタイズムの掛け合いである。
その中で、香川さんが豊田社長に「社長はどんな車が好きなんですか?」っていう問いかけに、章男社長は茶目っ気たっぷりの顔して「うるさくって、油臭い車!!」って返すあれだよ。
自ら国際C級ライセンスを持っているような車好きならではのリアクションだよね。

 

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山じいは父が脱サラして開業したガソリンスタンドで小学生の頃から社会勉強をしていた。

家業の手伝いで学んだこと

山じいの実家は四日市でガソリンスタンドを営んでいたから、小学校の頃から周りは車・車・車・車だった。
店には軽トラも来れば、大型ダンプもやって来る。
もちろんシャコタン(車高低)のヤンキーカーも、反社のおじさんのピカピカのアメ車も来ていた。
そしてガソリンを入れた後、お辞儀をしながらスタンドから送り出す車たちの音には、それぞれ個性があり自己主張していた。
あの頃の車オーナーは皆そうだったが、車を持つこと自体がステータスで、そこに自分の個性を出す。
ヤンキーはマフラーを外し、爆音を鳴り散らしながら走らせ、自分たちの存在を鼓吹していた。

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20万キロ乗った今だから分かる音

今山じいが乗っている日産のエクストレイルは人生初のディーゼル車なんだけど、買う前までの「ディーゼル=うるさい」ってイメージが20万キロも走らせてみると…「中々エエンじゃないこの音!!」ってね。
今ではディーゼルエンジンの音をえらく気にいっちゃったのよね。
そう、自分のお気に入りの車の音って、とても大事だなって再認識したんだ。 

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制音機能のある不織布の黒い筒(写真左)とプラスチックの白い筒(写真右)を耳に当てると違いは瞭然! 白い方は空気の音がするのに対して黒い方は無音であった。

"うるさい"の感覚は人それぞれ

車の音は静かなのが良い人ばかりじゃないんだよ。
あのエンジン音、エキゾーストノイズ、そういう走ってる感じの好きな人、自動車は静かな方が上品だと思う人、いろいろいるわけだ。
音だって、エンジン音が気になる人、風切り音が気になる人、意外に車内のちょっとした音が気になる人、気になる音って違うもんだよね。

そう、音は五感の中でも、繊細な感覚なんだよね。
人それぞれで感じ方が違う!!
だから、車の音を消す消音ではなく、制御する「制音」がとても大事なんだよ。その音を制御する会社が、このセキソーなんだ。

今後主流になっていくモーター駆動のEVは静かな車の代表なんだけど、制音が不要かといえばそうでもないんだって。
これはこれで気になる音があるんだって。へぇー??!!だよね。

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紡織用ケンス(繭糸を入れるための紙の容器)

紙業から始まったセキソー

セキソーは、元々は紙屋さんから成長してきた会社なんだ。
紙を積層させて養蚕業で使っていた蚕の繭から採った繭糸の入れ物やらゴミ箱など、色んな器を作ってきた。
そして、その技術を利用して車のグローブボックスを作るようになり、そこからセキソーは車載部品の会社になったんだそうだ。
だから、その紙の「積層」がセキソーの語源なんだってさ。ほっほーだね!!
で、紙が油を吸収できる機能を活用して、「制振材」のメーカーとしてここまで成長してきたんだ。
 

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車内環境・街を快適にする制音部品とは

車から発生するさまざまな音を防ぐために防振材・遮音材などといった多種多様な部品がエンジンルーム、トランクルーム、車内・車外の各所に使用されている。

セキソーの主力製品の一つである「インレットダクト」は、エンジンの吸気箇所に使われる部品である。
エンジンの吸気騒音を減らすためにこれまでは「レゾネーター」という消音部品が必要だった。
しかし、セキソーの開発したインレットダクトは、多孔質素材を用いることによってダクト自体が制音機能を持ち(部品が一つ減る!)、さらに吸気音を心地よい音色に改善できる画期的な製品なんだ。

工場見学ではまず初めにインレットダクトの「ハイパー・ポーラス・ダクト」という製品の製造工程を見せてもらった。

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制音材は主にポリプロピレンやポリエステルからなる不織布で作られる。
原料が変わっても不織布の扱いは紙業のノウハウを応用できるセキソーの得意分野。
その成型技術もさることながら、不織布の種類(繊維の細さや、長さ、密度)によって、どの周波数の音を・どのように・どの程度制御できるかが決まるんだ。

その技術力がすごいのが、この会社なんだ。
今後は特別な不織布の生産を自社内でできるようにしていくんだって。
さすが、音のプロだね。
 

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立派な無響音室・残響室で製品性能を測る

音を制するためには、音の正しい評価が重要である。
本社にあるテクニカルセンターには無響音室から全部音が跳ね返ってくる残響室まで揃っていて、どんな音が車のどこから出ているのかを三次元的に把握できる仕組みがあるんだ。
トヨタ自動車本体からも部屋の借用依頼が入るほどで、立派な設備だった。

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もちろんトヨタ本体にもそういう設備はあるんだけど、制音部材のプロと一緒に評価する方が当然有利だよね。
音の専門家と車の専門家がコラボレーションして、章男社長の大好きなしびれるようなエンジン音のする86から、穏やかな音のするレクサスのような超高級車までをつくり上げてるんだよ。 

無響音室で走行音の比較を聞かせてもらい、ポーラスダクトの制音性能に驚いたんだ。
以下で実際に音を聞いてみてくれ。
スマホのスピーカーで聞き比べができるかは少々不安だが…
プラスチックダクトとレゾネーターだと、吸気音が唸るようにワンワン鳴っているの分かるかな?
その点ポーラスダクトを装着すると連続的な音になっている。
セキソーの技術で、ここまで音が変わるんだ。 

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制音技術のフィールドは広がり続けている

これらの技術は別に車への応用だけに限られたもんじゃない。例えば飛行機の室内環境。
あれが当たり前に感じているけど、この時代にあの騒音はないだろうと山じいは思う…皆はそう思わないかい??
例えば、飛行機の騒音だけがカットされるような部材を作って、制音ヘッドホンを作る。
セキソーには容易なことだよね。
隣の人との会話なんかは普通に聞こえるけど、あの飛行機の騒音だけがカットされるヘッドホンがあればいいんだよね。
もしくは、カーボンファイバーのCFRPでできている航空機の外壁素材に吸音性能を付けるのはどうだろう。
制音の可能性について考えると、いろいろな未来が考えられないかい???

このセキソーは、これから「自動車サプライヤー」という範疇から飛び出していこうとしている。
名工大生の中でも音にこだわりのある人、結構いるよね!!
ヤマハ会社説明会に来ていた君たち、そんな鋭い耳を活かすことのできる会社があるんだ。
セキソーにも君たちのやり甲斐は転がっているよ。
トヨタ紡織の説明会に来ていた君達、車内環境の中で、音は大事だよね。
シートを作るだけじゃなく、こういう機能性のある部材を作ろうじゃないか。
そんな研究・開発ができる会社が、ここセキソーなんだよ。
ぜひとも覗いてみよう。
会社見学は、人事の武田(konomi.T@sekiso.co.jp)さんまで連絡したら都合を付けてくれるはずだよ。

文 山じい
編集・撮影 つかっちゃん

後編はこちら

blog.nityamakei.com

 

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株式会社セキソー 

1954年長野県岡谷市にて操業を開始し、のちに本社を現在の愛知県岡崎市に移す。紙業から始まり、現在では音と振動にこだわった自動車メーカー向けの樹脂成形品、制振・防音製品、ファイバーモールド製品などを製造している。世界6ケ国に生産拠点を持ち、制音のノウハウを活かせるフィールドを開拓するチャレンジに挑んでいる。

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